みなさん、こんにちは。前回の投稿から2カ月以上経ってしまいました。年度の変わり目、何かと雑用があるものですね。で、肝心の社会福祉士登録ですが、まだとりかかっていません。何せ2万円近くかかってしまうので足踏みしてしまっているような状況で…。
さて、突然ですがみなさん、今日は映画の話にお付き合いください。再三言及してきたゴッフマンに関しては目下勉強中でして…。しかし、いい機会ですな。ゴッフマンの「ドラマツルギー」に因んで映画の話!いいじゃないですか?
32年前の1994年に公開された映画、「パルプフィクション」をご存じでしょうか?クエンティン・タランティーノの作品でカンヌ国際映画祭ではパルム・ドールを受賞しています。ジョン・トラボルタとユマ・サーマンのダンスシーン、サミュエル・L・ジャクソンの殺戮シーンでの口上、ひどい目に遭うブルース・ウイリスなどなど多彩なスペクタクルはインパクトとかっこ良さあるいは滑稽さ満載、さらにとストーリーとプロットの斬新さ、そして巧みさは、当時の映画に対する概念を覆すもので、私は中毒に陥ってしまいました。ビデオ(まだdvdが普及していなかった!)を購入した私はついつい何度も観てしまい、しまいにゃテープが切れてしまうというつまらないオチがついてしまっています。
先日、youtubeを観ていたら、最近よくある生成AIによる、俳優の若かりし頃と現在を並べて当人同士に握手とかハグとかさせる、あの類で、その「パルプフィクション」の出演者達を取り上げる動画がありました。ジョン・トラボルタなんかは32年前から生え際が不自然だったから既にハゲてたんでしょうが、今はしっかり、潔くスキンヘッドでカミングアウトされてますね。あとは、ユマ・サーマン相変わらず綺麗やなあとか、ティム・ロス、老けたなあとか思ったり…。で、見ていくうち、突然「Steve Buscemi」のクレジットが!え?どこで出てた?
トラボルタ演じるヴィンセント・ベガとユマ・サーマン演じるミアのダンスシーンの舞台となるファンシーなレストラン「Jack Rabbit Slim‘s」で、ほんのワンシーンだけ登場するウエイター、白いジャケットに黒い蝶ネクタイのバディ…いわゆるバディ・ホリーのそっくりさん…を演じるのが、何と、そのブシェミだったとは!何て迂闊だったんでしょう!テープが切れるくらいだから何十回も観ているはずなのに気づかないとは…。よくよく見れば、うんうん、確かにブシェミやわ。で、どんな役かというとそのまんまウエイターを粛々とこなすエキストラ的役回りでしかなく、しまいにゃトラボルタ演ずるヴィンセントに、「あのバディ・ホリーはとろい奴だよ」と吐き捨てられて出番は終了。
しかし、いわゆるカメオ出演というやつであろうが、ぜいたくな使い方だなあ。何せタランティーノの前作「レザボア・ドッグズ」にブシェミは「Mr.ピンク」役で出演しているが、この役、めちゃくちゃはまってるし、めちゃくちゃ重要!おそらくこの映画の主演は「Mr.オレンジ」のティム・ロスと「Mr.ホワイト」のハーヴェイ・カイテルの2人…そういや、この2人ともパルプフィクションに出てるなあ…になるのだろう。それなら私としてはブシェミに助演男優賞をあげたい!このMr.ピンク、そもそも「Mr.ピンク」と名付けられたことに不満で既に不貞腐れている感じである。続いてMr.ピンク、「仕事前」のレストランでのシーンではウエイトレスのサービスに不満でチップを出さないやらでゴネ始めるも結局は周りに言い負かされる、「仕事後」のアジトではMr.ホワイトと口論になるも、ほどなくMr.ホワイトの迫力に屈するなど、啖呵を切るまでは頑張るが、どうも強そうに見えないのだ。しかしこれが決して子供っぽい感じではなく、まして媚びているような様子もない。むしろ「頑張ってみたけどやはり駄目だったか…」てな感じの哀愁すら漂わせる彼は、なぜか応援したくなってしまう、絶妙なキャラクターである。
このブシェミ、タランティーノ作品に加え、当時、あのコーエン兄弟作品の常連でもあった!そう、(私の考える)大傑作、「ファーゴ」に、あのピーター・ストーメアと共に誘拐犯…正確には誘拐を依頼されるチンピラ…の役で主演しているが、これがまた絶妙なのである。
ちなみに私、とある海外に赴いた際、狭いエコノミークラスで10時間以上のフライト中全く眠れず、無料視聴できるコンテンツの中にこの「ファーゴ」があったため、3回ほど繰り返し観てしまった。この映画も当時既に何度も繰り返し観ており、ストーリーもある程度セリフも覚えていたため、吹替でもなく、字幕もないのに支障なく楽しめてしまった。いや、しかし、いくら眠れなくて退屈とはいえ、我ながらよくあんなに何度も1本の映画を観れたなあ。(ちなみに「テルマエ・ロマエ」も観ようと試みたがつまらなかった)
そんな、私にとって「パルプフィクション」以上に中毒性を持つ、「ファーゴ」だが、先述したとおり、ブシェミの役回りは「レザボア・ドッグズ」同様、犯罪者である。そしてやはり極めて重要な役回りなのだが、どうも扱いが雑というか、蔑まれているというか…。いい例えが思い浮かばいが、北野武、「アウトレイジ」における石橋蓮司、もしくは中尾彬的と言うべきか?とにかく出番は多いのに酷い扱いなのである。
このブシェミが演じるのは“カール”というチンピラなのだが、事件の捜査上、彼と一夜を共にしたコールガール(このおねえちゃんがまた秀逸!)、目撃者の男性(このおっちゃんもいい味出してる!)は証言のなかで、いずれもカールのことを「funny lookin`」訳して「ヘンな顔」と形容するのである。翻訳担当は土橋秀一郎という方だそうだが、「ヘンな顔」という和訳も秀逸である。この「ヘンな顔」がひとつの仕掛けになり、ブシェミ演じるカールがアップで映されるたび、なんだか笑えてくるし(笑えるシーンはたくさんあるが…)、楽しくなってきてしまうのだ。
相棒のピーター・ストーメア演じるゲアは無口で退屈な男でカールに運転を任せっきり、しかも後先考えず人を撃ってしまい、計画は泥沼化する。さらにシェプというインディオ系のマッチョマンには一切の抵抗もできずボコボコにされるなど、カールの災難は続く。そしてラストでは仲違いしたゲアに殺められた挙句、ひどい結末が…。
さんざん「ヘンな顔」と言われた末に最後は「アウトレイジ」に勝るひどい扱いを受けるブシェミだが、「レザボア・ドッグズ」同様、強烈なインパクトを残す。いずれも出番も台詞もやたら多くて大変ではあっただろうが、彼が居てこそ、この両作品は成立していると言って過言ではない。「ヘンな顔」とやや高めの独特のトーンの声、偽善でも偽悪でもなく、格好つけるわけでもない、悪人なのになんかいい奴、そんなブシェミはもう68歳らしい。そういや、プロデューサーや監督なんかもやってるらしいから、あらためて彼の足跡を追いたくなった。

コメント