Mr.ゴッフマン あなたに恋してしまったみたい・・

みなさん、こんにちは。しんさんです。

第38回社会福祉士国家試験、合格発表まで1週間となりましたね。

合否ライン、いわゆるボーダーに関しては様々な情報が飛び交っており、私もついついそれに一喜一憂しているような状況です。しかし、この明らかに未曽有の難問ぞろいの試験を受けた私たちは、かけがえのない体験を共有できた者同士として、今後も何らかの形でこの体験を生かし、10年後に再びその活躍の近況等を共有し合えれば良いかと思っております。

さて、前回のつづきになります、この試験の問題13、デュルケムの「自殺論」に関する設問です。私はこの問題が「良問」であると思いました。これについて私なりに解説していきたいと思います。お付き合いください。

例えば、デュルケムは「自殺論」や「社会分業論」を著していますが、従来典型的な出題形式として、

・デュルケムは「社会分業論」において有機的連帯を提唱した。

という肢文ですが、これは正解です。他に例を挙げるなら

・マーシャルはシティズンシップを提唱し、3つの権利を提示した。

これも典型的な例で、正しい内容です。しかし、これをシャッフルして

・デュルケムはシティズンシップを提唱した。

・マーシャルは「社会分業論」を著した。

となると、どちらも間違いとなるわけですが、このようなシャッフルした出題方法は過去問で数えきれないくらい見てきました。デュルケム;「社会分業論」/マーシャル;「シティズンシップ」で覚えておけば簡単にこの選択肢は省くことができます。学習し始めの頃はかなり苦労しますが、覚えてしまった受験生にとってはサービス問題ともいえます。逆に試験問題を作成する側も問題を作成しやすいのではないかと思います。

余談ですがマッチ棒クイズってありますよね?数字と記号がマッチ棒で示してある簡単な等式を、「マッチ棒1本動かして、正しい計算式にしましょう」ってやつ。あれ、解くのは結構難しいけど、問題を作るのはいくらでも簡単に作れると思います。

さて、では今回の問題13はどのような内容であったか、そのまま抜粋します。

Q:デュルケームの「自殺論」に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

1 自殺傾向は、流行現象として捉える必要があるとした。

2 自己本位的自殺は、戦争時に増加する。

3 集団本位的自殺は、人々の欲求への規制が弱まることで生じる。

4 アノミー的自殺は、経済的に衰退した時も、繁栄の時期にも増加する。

5 宿命的自殺は、自己決定意欲が高まると増加する。

はい、いかがでしょう?当日は医学概論、心理いずれも打ちのめされた状態でこの出題です。しっかり考える余裕などなく、私は選択肢1を選んでしまいました。最も選んではいけない選択肢といえます。いわゆる地雷ですね。デュルケムは一言もこんな主張はしていない。

つまり、構造的に2~5の選択肢のうち当然1つが正解ですが、それ以外の3つはいわゆるシャッフルされています。今回は、いや、今後もこの傾向は続くかと思います。つまり、人名とその提唱した説をシャッフルするのではなく、その説の内容をシャッフルする問題にシフトしてきました!いやー参りました。デュルケムの著書;「自殺論」「社会分業論」程度の暗記では対応できなくなっているのです!

では、デュルケムの提唱した「4つの自殺の類型」をここで簡単に見ていきます。

・自己本位的自殺…個人主義が過度に進展し、個人が家族などの社会集団や伝統的な規範から切り離されることにより、孤立や疎外感が強まり、自殺に至るケース。

・アノミー的自殺…社会の規範や価値観が急激に変化または失われることにより、個人がどのように行動すべきか、どのような価値基準に従えばよいのかが不明瞭になった状況下で起こる自殺。具体的な背景として、経済危機や戦争などにとどまらず、技術革新なども含まれる。現代ではスマホの普及をはじめとしたITの急激な進歩、AIの普及による雇用市場の変容も含まれるといえる。

・集団本位的自殺…これは抽象的には分かりづらいので私なりに具体例を挙げながら説明させてください。例えば日本が太平洋戦争中にやれ自決やら、やれ玉砕やらで多くの命を犠牲にしました。まさしくこれで、お国のためなら死も厭わないという、自らの命を犠牲にする行為です。あの自爆テロなんかもそうですね。つまり、イデオロギーや宗教なんかの集団の利益のために命を落とすことです。

・宿命的自殺…デュルケムは「宿命的自殺は今日的意味をもたない」としています。これは、過度の規制から生じる自殺であり、本人の欲望とは無関係に、無情にも未来を閉ざされた人々の図る自殺であるとされています。

はい、ここまできて、もう正解は4であると分かってきませんか?この問題を良問と思えるのは、以上のデュルケムの自殺の分類さえ知っていればほぼ迷いなく解答できること、そして分類の中でも最も重要と言える「アノミー的自殺」を正解の肢に持ってきたところです。

先ず、2と3。戦争時に増えるのは「集団本位的自殺」または「アノミー的自殺」です。一方、人々の欲求への規制が弱まることで生じるのは「自己本位的自殺」、又は「アノミー的自殺」であるといえます。つまり、シャッフルしてあるわけです。そして5。意思決定などの自由を奪われた人が及んでしまうのが宿命的自殺です。そこには自己決定意欲などありえないでしょう。よって簡単に省けます。

この問題で重要なのは、アノミー的自殺がいかなる背景で生ずるかをきちんと理解しておくことです。つまり、選択肢の文言通り、恐慌やバブル崩壊等の経済衰退期にも、逆に好況でありながら、IT革命やAI発達の価値観ががらりと変わってしまう局面でもアノミー的自殺は増加するという考えです。概要さえ押さえておけば決して難しい問題ではないのです。悔しい…。

このタイプの問題は他にも問題16、エスピンーアンデルセンの福祉国家レジームに関する問いや、問題77、ジャーメインとギッターマンの生活モデルに関する問題などに見受けられています。いずれもある程度それぞれの提唱された説の内容を押さえておかないと、とても太刀打ちできないような内容でした。

試験の2カ月ほど前から、TACや中央法規の参考書にある人名を徒に覚えました。ジンメル;形式社会学/リッチモンド;社会診断、ケースワークの母/賀川豊彦;死線を超えて/などなど…。

しかし蓋を開けてみれば、そんな暗記では甘かったということです。うすうす感じていた不安は不幸にも的中してしまった…。

そんな、「広く浅い」暗記による試験対策を行う中、非常に魅力的な理論に出会います。カナダの社会学者、アーヴィング・ゴッフマンの「ドラマツルギー」です。これは心理学分野における「役割取得」、「役割期待」等にも横断的に網羅される理論でもありますが、「人は、その固有の性格によるもののみならず、状況に応じて役割を演じ、どう見られるのかを操作している」といったものです。いや、これ、すごくないですか?社会福祉士の資格取得を目指していなければ、このゴッフマンには出会えなかったかもしれない。素直に嬉しく思います。

次回以降、このゴッフマンにも触れながら、さらに国家試験の内容やソーシャルワーカーの業務についても深入りしていきたいと思います。

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